公益財団法人 大阪産業局

ゲスト さん

従業員を退職させたいと考えているのですが、どういう点に気をつければよいですか。

Q

従業員を退職させたいと考えているのですが、どういう点に気をつければよいですか。

私の言うことをきちんと聞かない従業員を辞めさせたいと思っています。
しかし,従業員を解雇するのは難しいと聞いたことがあります。
どういう点に気をつければよいのでしょうか。

A

解雇無効として争われないように注意をする必要があります。
従業員を解雇したところ,労働基準監督署へ駈け込まれた,労働組合から交渉の通知がきた,代理人から訴状が届いた,という話が良く聞かれます。
上記のような場合,経営者は通常の業務で忙しいのにもかかわらず,さらに労使紛争において適切な対応をおこなう必要が出てくるのです。
では,紛争にならぬようにどのような点に気をつけて従業員を退職させればよいのでしょうか。
 そもそも、労働契約法16条では、「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして無効とする」と定められています。
 解雇に合理的な理由と手段の相当性がなければ,従業員からは解雇権の濫用による解雇無効を主張され、従業員との間で裁判所での紛争になり,最悪の場合には解雇無効となるリスクが生じます。
 そこで,かかるリスクを除外するためには,まず,従業員を退職させる場合、解雇という形式をとらないことが重要です。
退職勧奨をおこない、自主退職というかたちで従業員との雇用契約を終了させることがよいでしょう。その際、就業規則に,退職金についての定めがある場合,規定上の退職金に上乗せして支給することも、自主退職を促す手段のひとつと思われます。
 では、従業員が退職勧奨に応じない場合、どうすれば、よいのでしょうか。
 その場合は、解雇無効とならぬように解雇をしなければなりません。
 しかし,いつでも解雇できるわけではありません。
 まず、労働基準法19条では,解雇が制限される期間が定められており,労働者が業務上の負傷や疾病による療養のために休業する期間およびその後30日間並びに産前産後休業期間及びその後の30日間は,原則としてその労働者を解雇してはいけません。
 また,国籍・信条・社会的身分を理由とした解雇,性別を理由とした解雇,正当な組合活動を理由とした解雇,労働基準監督署に法違反を申告したことを理由とする解雇等も,法令上解雇が禁止されています。
 さらに,解雇の理由が就業規則に定められた解雇事由にあたる必要があります。
 そのほか,冒頭のように解雇権の濫用と評価されないように配慮する必要があるのです。
 この点,合理的な理由としては,一般に①労働者の労働能力等の喪失,②労働者の規則違反行為,③経営難等の経営上の必要性が挙げられます。社会通念上の相当性については,日本の裁判所はなかなか容易には認めてくれず,解雇がとりうる最終手段であるといえなければ社会通念上の相当性が認められないリスクがあるといえるでしょう。
 労使紛争のリスクを少なくしたければ,従業員を退職させる場合,これらの点に留意して,従業員を退職させる必要があるのです。

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